結論から。動物モチーフで知られるブランドには、ワニのラコステ、跳ね馬のフェラーリ、ライオンのプジョー、牛のランボルギーニ、パンサーのカルティエ、蛇のセルペンティで知られるブルガリなどがあります。
動物が選ばれた理由はブランドごとに違い、創業者のあだ名、譲り受けた紋章、製品の性能、創業者の星座などさまざまです。
由来を知ると、ロゴの動物が単なる飾りではなく、ブランドの出自を語る印だと分かります。
この記事では各社の公式資料などで確認できた事実だけを一覧にし、動物が選ばれた「型」と、身に着けるときの見方を整理します。
- ラコステのワニは、1923年に米国の新聞が付けた創業者のあだ名に由来します。
- フェラーリの跳ね馬は、第一次世界大戦の飛行士バラッカの紋章を受け継いだものです。
- ブランドの動物は、人・紋章・性能・星座・作品の主題という五つの型に分かれます。
動物モチーフで知られるブランドと象徴の動物
動物モチーフで知られるブランドは、ファッション、ジュエリー、スポーツ、自動車と分野を問わず存在し、動物はブランドの名前と同じくらい強い目印になっています。
下の表は、公式サイトや公的な資料で由来を確認できたブランドに絞った一覧です。
商標やロゴの詳細は各社の権利に属するため、ここでは「〜として知られる」事実の範囲で紹介します。
| ブランド | 象徴として知られる動物 | 分野 | 確認できた由来 |
|---|---|---|---|
| ラコステ | ワニ(クロコダイル) | ファッション | 1923年に米国の新聞が創業者に付けたあだ名 |
| フェラーリ | 跳ね馬 | 自動車 | 飛行士フランチェスコ・バラッカの紋章 |
| プジョー | ライオン | 自動車(創業は製鋼・のこぎり) | のこぎりの刃の速さ・しなやかさ・食い込み |
| ランボルギーニ | 牛 | 自動車 | 創業者の星座が牛であること |
| カルティエ | パンサー | ジュエリー・時計 | 1914年に初めて登場した象徴の動物 |
| ブルガリ | 蛇(セルペンティ) | ジュエリー・時計 | ブランドのアイコンの一つとされるコレクション |
| プーマ | ネコ科の動物(キャットロゴ) | スポーツ | 1948年創業、キャットロゴで知られる |
| オニツカタイガー(アシックス) | 虎 | スポーツ | 1953年の「タイガー印」のシューズ |
ブランドの動物は「強そうだから」選ばれたとは限りません。あだ名、形見の紋章、のこぎりの刃など、意外な出自を持つものが多くあります。
ブランドが動物を選んだ理由は五つの型に分かれる
ブランドが象徴に動物を選んだ理由は、「人」「受け継いだ紋章」「製品の性能」「創業者の個性」「作品の主題」の五つの型に整理できます。
型を知ると、ロゴの動物を見たときに、そのブランドが何を大切にしてきたかが読み取れます。
編集部が確認できた事実をもとに分類すると、次のようになります。
| 型 | 代表例 | 動物が表すもの | 身に着ける人に伝わる印象 |
|---|---|---|---|
| 人のあだ名 | ラコステのワニ | 創業者その人の粘り強さ | スポーツの出自、品のある遊び心 |
| 受け継いだ紋章 | フェラーリの跳ね馬 | 勇気と幸運への願い | 速さと物語性 |
| 製品の性能 | プジョーのライオン | 道具としての強さと鋭さ | ものづくりの確かさ |
| 創業者の個性 | ランボルギーニの牛 | 創業者の星座と気質 | 力強さ、意志の強さ |
| 作品の主題 | カルティエのパンサー、ブルガリの蛇 | 美と象徴の探求 | クラシックな宝飾の格 |
スポーツブランドの動物は、この五つの型に加えて「速さ」や「俊敏さ」を連想させる役割を担うことが多いのが特徴です。
一方、ジュエリーメゾンの動物は、ロゴではなく作品の題材として繰り返し登場し、コレクションの名前になっています。
「ロゴの動物」と「作品の動物」を分けて考えるのが、ブランドの動物を読み解く第一歩です。
ラコステのワニとフェラーリの跳ね馬は「人」から生まれた
ラコステのワニとフェラーリの跳ね馬は、どちらも一人の人物に由来する動物で、前者は創業者のあだ名、後者は戦死した飛行士の紋章から生まれました。
動物そのものより、その動物にまつわる人物の物語がブランドの核になっている例です。
どちらも公式資料や記念館で経緯が説明されています。
ラコステのワニは「あだ名」から
ラコステの公式サイトによると、1923年、テニス選手ルネ・ラコステは米国ボストンで、次の試合に勝てばワニ革のスーツケースを贈るとチームの主将に約束されました。
試合には敗れたものの、米国の新聞は彼を「クロコダイル(ワニ)」と呼ぶようになりました。
ルネは友人でスタイリストのロベール・ジョルジュに頼み、コートで着る白いジャケットにワニを縫い付けてもらいます。
1933年にはアンドレ・ジリエとともにラコステを創業し、同社は服にロゴを付けた最初のブランドになったと紹介しています。
ラコステのワニは、強さを誇示するためではなく、勝負への粘り強さを讃えたあだ名から生まれた動物です。
同じワニでも、型押しの革でワニを表すバッグは素材の質感で魅せる道具で、意味の成り立ちが異なります。
クロコダイルの型押しの合わせ方はクロコ型押しバッグのコーデ|艶の強さで服を選ぶで扱っています。
フェラーリの跳ね馬は「形見の紋章」
カヴァリーノ・ランパンテとは、イタリア語で「跳ね馬」を意味し、フェラーリのエンブレムとして知られる後ろ脚で立ち上がった馬の紋章です。
イタリアのフランチェスコ・バラッカ記念館によると、第一次世界大戦の飛行士バラッカは、ピエモンテ騎兵連隊の紋章を自らの印にしていました。
1923年、サヴィオのレースで優勝したエンツォ・フェラーリはバラッカの父と出会い、のちに母パオリーナ伯爵夫人から「息子の跳ね馬を車に付けなさい、幸運を運んでくれる」と勧められます。
この馬は1932年7月9日、スパ24時間レースでスクーデリア・フェラーリのアルファロメオに初めて掲げられました。
同記念館は、フェラーリの馬が収まる盾の黄色い地はモデナの色であり、馬はいつも黒だったと説明しています。
幸運を願う形見の紋章として受け継がれた点で、跳ね馬は「縁起物」に近い性格を持つ動物です。
馬にちなむ縁起物の読み方は馬蹄モチーフの意味|U字の向きで変わるでも紹介しています。
動物の由来を知ると、身に着ける一つひとつに物語が宿ります。夜に映える静かな動物デザインはNYXARIA公式ストアでご覧いただけます。
プジョーのライオンとランボルギーニの牛が表すもの
プジョーのライオンはのこぎりの刃の性能を、ランボルギーニの牛は創業者の星座と気質を表した動物で、どちらも「強さ」の中身が具体的です。
自動車のブランドとして知られる両社ですが、動物の由来は車が生まれる前の道具や、創業者個人の性格にあります。
動物の選び方に、ものづくりの考え方が表れている例です。
プジョーのライオンは「のこぎりの刃」
プジョーの歴史を伝えるラヴァンチュール・プジョーの資料によると、ライオンの意匠はモンベリアールの金細工師ジュール・ブラゼールがデザインしました。
「矢の上のライオン」の意匠は1850年からのこぎりに刻まれ、1858年には商標の届け出の記録があります。
ライオンはフランシュ=コンテ地方の紋章も思わせますが、何よりも刃の「速さ・しなやかさ・食い込み」という性能を表したものだと説明されています。
矢は、のこぎりの切る速さを表すとされます。
ランボルギーニの牛は「創業者の星座」
ランボルギーニの公式サイトによると、同社は1963年に設立され、エンブレムも同じ年に作られました。
創業者フェルッチオ・ランボルギーニは地元の活字デザイナー、パオロ・ランバルディにロゴを依頼し、その発想は創業者の星座である牛から直接得たものだとしています。
彼が自分を評してよく使った「牛のように頑丈」という方言の言い回しも、エンブレムに込められました。
動物が創業者自身の自画像になっている珍しい例です。
カルティエのパンサーとブルガリの蛇は「作品の主題」
カルティエのパンサーとブルガリの蛇は、ロゴではなく作品の主題として繰り返し表現されてきた動物で、コレクションそのものの名前になっています。
ジュエリーメゾンにとって動物は、目印というより、技と美意識を示す題材です。
そのため、同じ動物でも時代ごとにデザインが更新され続けています。
カルティエのパンサー
カルティエの公式サイトは、パンサーを同社の象徴の動物とし、1914年に初めて登場して以来、メゾンの創作に君臨してきたと紹介しています。
野生で手なずけられない動物として描かれ、時計やリング、ブレスレットなど幅広い作品に登場します。
パンサーのジュエリーを顔の向きで選ぶ方法はパンサーモチーフのジュエリー|顔の向きで選ぶで詳しく扱っています。
ブルガリの蛇「セルペンティ」
LVMHの公式サイトによると、ブルガリは1884年にローマの中心で創業し、セルペンティはブルガリのアイコンの一つとされるコレクションです。
セルペンティは、イタリア語で蛇を表す言葉です。
蛇そのものが持つ再生や永遠の意味は蛇モチーフのジュエリー|意味と大人の着け方で整理しています。
プーマとオニツカタイガー、スポーツと俊敏な動物
スポーツブランドの動物は、速さ、跳躍力、力強さといった、競技に求められる身体能力を連想させる存在として選ばれています。
ネコ科の動物は、その代表格です。
日本発のブランドにも、動物の名を冠した例があります。
プーマのキャットロゴ
プーマの公式サイトは、同社が1948年に創業し、ドイツのヘルツォーゲンアウラッハに本社を置くこと、そしてアイコニックなキャットロゴとフォームストリップで知られることを紹介しています。
跳びかかるネコ科の動物の姿は、競技に求められる瞬発力を思わせる印です。
動物としてのピューマ(クーガー)と、柄で見分けるネコ科の大型動物の違いは、ヒョウ柄・チーター柄・ジャガー柄の違い|斑点の形で見分けるも参考になります。
オニツカタイガーの虎
アシックスの公式サイトによると、鬼塚喜八郎は1949年に神戸で鬼塚商会を創業しました。
1953年にはマラソンシューズが「タイガー印 マラップシューズ」として発売され、1977年の合併でアシックスが生まれた際には「アシックスタイガー」のブランドが登場します。
2002年には「オニツカタイガー」のブランドが再び展開されました。
虎の名は、1953年のシューズから現在のブランドまで、たびたびブランド名に用いられてきました。
動物モチーフのブランド品を選ぶ・着けるときの見方
動物モチーフのブランド品を選ぶときは、その動物がロゴなのか作品の主題なのかを見分け、由来を知ったうえで、一つの装いに動物を一つだけ置くのが大人の着け方です。
ブランドの動物は意味を背負っているぶん、ほかの動物モチーフと重ねると主張がぶつかります。
編集部が考える選び方の手順は次のとおりです。
- ロゴか作品の主題かを見分ける:ワニや跳ね馬はブランドの印、パンサーや蛇は作品の題材として読みます。
- 動物の由来を一つ知っておく:あだ名、紋章、道具、星座など、由来を一言で説明できると愛着が増します。
- 一つの装いに動物は一つにする:ロゴの動物がある日は、ほかの動物モチーフのアクセサリーを外します。
- ロゴの大きさで場面を選ぶ:胸元の小さな刺繍は仕事着にも、大きなロゴは休日の装いに向きます。
- 正規の販売店で買う:動物のロゴは模倣品が出回りやすいため、購入先を確かめます。
時計やネクタイピンの動物は「裏」と「横」に
仕事の場でブランドの動物を身に着けるなら、時計の裏蓋やネクタイピンの横顔など、相手から見えにくい位置に置くと品よくまとまります。
動物の由来を知っている人だけが気づく距離感が、大人の楽しみ方です。
その考え方は動物モチーフの時計|文字盤ではなく裏に置くで詳しく扱っています。
贈り物にするなら由来を一言添える
動物モチーフのブランド品を贈るときは、ロゴの動物の由来をカードに一言添えると、品物の価値に物語が加わります。
「勝負に粘り強かった選手のあだ名から生まれたワニです」のような一文は、受け取った人が誰かに話したくなる贈り物にします。
ただし、由来は公式の説明に沿って伝え、確かめられない逸話を付け加えないようにします。
- 動物がロゴなのか、作品の主題なのかを見分けたか
- 動物の由来を一言で説明できるか
- 一つの装いに動物は一つにしているか
- ロゴの大きさが着ていく場面に合っているか
- 正規の販売店で購入したか
- 仕事の場では、見えにくい位置に動物を置いたか
- 贈るときは公式の由来に沿った一言を添えたか
よくある質問
ラコステのロゴがワニなのはなぜですか?
創業者ルネ・ラコステのあだ名に由来します。ラコステの公式サイトによると、1923年にボストンで、勝てばワニ革のスーツケースを贈ると約束された試合に敗れたものの、米国の新聞が彼を「クロコダイル」と呼ぶようになりました。のちに友人がコート用の白いジャケットにワニを縫い付けたことが始まりです。
フェラーリの跳ね馬の由来は何ですか?
第一次世界大戦のイタリアの飛行士フランチェスコ・バラッカが印にしていた跳ね馬に由来します。1923年にエンツォ・フェラーリがバラッカの父と出会い、のちに母のパオリーナ伯爵夫人から幸運を運ぶとして馬を車に付けるよう勧められました。盾の黄色い地はモデナの色とされています。
ランボルギーニのエンブレムが牛なのはなぜですか?
創業者フェルッチオ・ランボルギーニの星座が牛だったことに由来します。ランボルギーニの公式サイトによると、エンブレムは会社が設立された1963年に作られ、彼が自分を評してよく使った「牛のように頑丈」という言い回しも込められています。
プジョーのライオンは何を表しているのですか?
プジョーのライオンは、もともと同社が作っていたのこぎりの刃の性能を表したものです。プジョーの歴史を伝える資料によると、ライオンは刃の速さ・しなやかさ・食い込みを表し、1850年からのこぎりに刻まれました。地方の紋章を思わせる意味もあるとされています。
カルティエのパンサーはいつから使われていますか?
カルティエの公式サイトは、パンサーが1914年に初めて登場して以来、メゾンの創作に君臨してきたと紹介しています。パンサーはロゴではなく、時計やジュエリーの作品の主題として繰り返し表現されてきた動物です。現在もコレクションの名前として使われています。
動物ロゴのブランド品をほかの動物アクセサリーと合わせてもいいですか?
合わせることはできますが、一つの装いに動物は一つにする方が大人っぽくまとまります。ブランドの動物は由来と意味を背負っているため、ほかの動物と並ぶと主張がぶつかりやすいからです。ロゴの動物がある日は、アクセサリーを無地や幾何学的なデザインにすると調和します。
まとめ
動物モチーフで知られるブランドには、ワニのラコステ、跳ね馬のフェラーリ、ライオンのプジョー、牛のランボルギーニ、パンサーのカルティエ、蛇のセルペンティで知られるブルガリ、キャットロゴのプーマ、虎のオニツカタイガーなどがあります。
動物が選ばれた理由は、人、受け継いだ紋章、製品の性能、創業者の個性、作品の主題の五つの型に分かれます。
- 人:ラコステのワニは1923年に新聞が付けたあだ名から。
- 紋章:フェラーリの跳ね馬は飛行士バラッカの印。黄色い地はモデナの色。
- 性能と個性:プジョーのライオンはのこぎりの刃、ランボルギーニの牛は創業者の星座。
- 作品の主題:カルティエのパンサーは1914年から、ブルガリはセルペンティをアイコンの一つに。
- 着け方:ロゴか主題かを見分け、一つの装いに動物は一つ。購入は正規の販売店で。
参照した一次・公式資料
- Lacoste「Our History」(2026年10月確認)
- Museo Francesco Baracca「Il Cavallino Rampante」(2026年10月確認)
- L’Aventure Peugeot「L’histoire Peugeot」(2026年10月確認)
- Automobili Lamborghini「History」(2026年10月確認)
- 株式会社アシックス「沿革」(2026年10月確認)
カルティエの記述はCartier「Iconic Panthère」、ブルガリの記述はLVMH「Bvlgari」、プーマの記述はPUMA「About PUMA」で確認しています(いずれも2026年10月確認)。ブランド名・ロゴは各社の商標で、本記事は公式資料で確認できた由来を紹介するもので、各社と提携・推奨関係はありません。(2026年10月時点)

コメント