結論から。招き猫は「挙げている手」と「色」で意味が変わります。
右手は金運、左手は人(客)を招くとされ、色は白・黒・赤・金などで役割が分かれます。
由来には豪徳寺・今戸神社・自性院など複数の説があり、どれか一つに確定していません。
以下、手・色・由来・置き方まで、一枚の地図としてまとめます。
CULTURE
結論:手と色で意味が決まる
招き猫を選ぶとき、見るところは2つです。
どちらの手を挙げているか。
そして、体の色は何色か。
右手=金運、左手=人を招く。
両手挙げは「欲張り」として避けられることもあります。
| 要素 | 一般に言われる意味 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 右手を挙げる | 金運・財を招く | 自宅・個人 |
| 左手を挙げる | 人・客を招く | 店舗・商売 |
| 両手を挙げる | 両方/欲張りとも | 好みで |
| 白 | 福・開運全般 | 迷ったときの定番 |
| 黒 | 魔除け・厄除け | 玄関 |
| 金 | 金運 | 贈答 |

由来には複数の説がある
招き猫の起源は、一つに定まっていません。
代表的なものが3つあります。
豪徳寺(東京・世田谷)
彦根藩主が寺の前を通ったとき、猫が手招きした。
導かれて寺に入った直後に雷雨となり、難を逃れた——という言い伝えです。
以来この寺は井伊家の菩提寺となり、招福猫児(まねきねこ)が奉納されるようになりました。
今戸神社(東京・浅草)
貧しい老女が飼い猫を手放したところ、夢に猫が現れ「自分の姿を人形にすれば福が来る」と告げた。
作って売ったところ評判になった、という話です。
今戸焼という土人形の産地であったことと結びついています。
自性院(東京・新宿)
太田道灌が道に迷ったとき、猫が現れて寺へ導いた。
その猫を祀ったことが始まりとされます。
豪徳寺は曹洞宗の寺院で、彦根藩主・井伊家の江戸における菩提寺です。境内には井伊直弼の墓所があり、1860年(安政7年)の桜田門外の変で没した直弼はここに葬られました。招福殿の脇には奉納された招福猫児が並びます。世田谷区ほか、寺院の公開情報より。
| 説 | 場所 | 要旨 |
|---|---|---|
| 豪徳寺説 | 東京・世田谷 | 猫の手招きで雷雨を避けた |
| 今戸神社説 | 東京・浅草 | 夢のお告げで猫の人形を作った |
| 自性院説 | 東京・新宿 | 猫が道に迷った武将を導いた |
| 丸〆猫説 | 東京・浅草 | 浅草寺の境内で土人形が売られた |

どの説が正しいか、決着はついていません。
江戸後期に複数の土地で同時多発的に生まれた、と考えるのが自然です。
共通しているのは、猫が「人を導いた」という構図です。
当時の猫は鼠を捕る実用の動物であり、同時に高価な愛玩動物でもありました。
その両方の性格が、福を招く存在という像に重なっていったと考えられます。
色別の意味の一覧
色による意味づけは、後世に整理されたものが多く含まれます。
| 色 | 意味 | 備考 |
|---|---|---|
| 白 | 福・開運全般 | 最も古く、基本形 |
| 三毛 | 幸運全般 | 白地に赤黒。最も伝統的 |
| 黒 | 魔除け・厄除け | 玄関向き |
| 赤 | 健康・無病息災 | 疱瘡除けの赤に由来 |
| 金 | 金運・財運 | 贈答で人気 |
| ピンク | 縁結び | 近年に定着 |
| 青 | 学業・交通安全 | 近年に定着 |
| 緑 | 合格・安全 | 近年に定着 |
赤が健康とされるのは、江戸期に赤い色が疱瘡(天然痘)除けとされたことに由来します。
赤い達磨や赤い獅子と、同じ発想の延長線上にあります。
ピンク・青・緑は、比較的新しい分類です。
伝統に忠実に選びたいなら、白・三毛・黒・赤の4色から選ぶのが確実です。
NYXARIA / 和猫モチーフ コレクション
招き猫や浮世絵の猫を、現代の服とアクセサリーに落とし込んだシリーズ。
和の文脈を残しつつ、普段のコーデに置けるトーンに整えています。
手の高さ・小判・首輪の意味
手の左右だけでなく、高さにも意味があるとされます。
手の高さ
- 耳より低い:近くの福を招く。手堅い
- 耳と同じ:標準。最も数が多い
- 耳より高い:遠くの福を招く。大きな願い向き
高く挙げるほど良い、というものではありません。
近い願いなら低い手、遠い願いなら高い手、という使い分けです。
小判の額
抱えている小判には金額が書かれていることがあります。
「千万両」「億万両」など、実在しない額が使われるのが通例です。
縁起物なので、額が大きいほど景気がよいという単純な発想です。
首輪と鈴
赤い首輪と鈴は、江戸期の飼い猫の姿をそのまま写したものです。
当時、猫は高価な愛玩動物で、首輪と鈴をつけて飼われていました。
つまり招き猫の首輪は装飾ではなく、「大切に飼われた猫」の記号です。

置き方と贈り方
置く場所にも、いくつかの目安があります。
| 場面 | 置く場所 | 選ぶ色・手 |
|---|---|---|
| 店舗 | 入口が見える位置 | 左手・白か三毛 |
| 自宅の玄関 | 入って正面か右手側 | 黒(魔除け) |
| 仕事机 | 目線より少し上 | 右手・金 |
| 贈り物 | — | 白か金。無難 |
贈るときの注意
- 開業祝いなら左手(客を招く)が定番
- 色に迷ったら白。どの願いにも当てはまる
- 相手の店の雰囲気に合う大きさを選ぶ(大きすぎると置き場に困る)
- 割れ物なので、緩衝材を厚めにして渡す
置く方角に厳密な決まりはありません。
人の目に入る場所であることのほうが、実質的には重要です。
よくある質問
迷ったら「白・右手」か「白・左手」。
自宅なら右手、店なら左手で外しません。
招き猫の右手と左手では意味が違いますか?
一般に右手は金運・財を招き、左手は人や客を招くとされます。自宅に置くなら右手、店舗や開業祝いなら左手が定番です。両手を挙げた形もありますが、欲張りとして避けられることもあるため、贈り物にするなら片手のものが無難です。
招き猫の由来はどこの説が正しいのですか?
一つに確定していません。東京の豪徳寺、今戸神社、自性院に代表的な言い伝えがあり、いずれも江戸期の話として伝わっています。江戸後期に複数の土地で同時に生まれ、それぞれの縁起が語り継がれたと考えるのが自然です。どれか一つを起源と断定する根拠はありません。
色によって意味が違うと聞きましたが本当ですか?
白は福全般、三毛は幸運全般、黒は魔除け、赤は健康とされ、この4色は比較的古くからの分類です。赤が健康なのは、江戸期に赤色が疱瘡除けとされたことに由来します。ピンクの縁結びや青の学業などは近年に定着したもので、伝統に忠実に選ぶなら前者の4色からになります。
招き猫の手の高さには意味がありますか?
耳より低い手は近くの福を、耳より高い手は遠くの福を招くとされます。高いほど良いというものではなく、身近な願いなら低い手、大きな願いなら高い手という使い分けです。最も数が多いのは耳と同じ高さのもので、迷った場合はこれを選べば問題ありません。
まとめ
招き猫を読み解くための要点です。
- 手:右手は金運、左手は人。自宅は右、店は左
- 色:白・三毛・黒・赤が伝統的な4色
- 由来:豪徳寺・今戸神社・自性院。ひとつに確定していない
- 首輪:装飾ではなく、江戸の飼い猫の姿の名残
招き猫は、単なる縁起物ではありません。
江戸の人が猫をどう見ていたかが、そのまま形に残ったものです。

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