結論から。モルモットが抱っこを嫌がるのは、高さと不安定さが理由です。性格でも、慣れが足りないからでもありません。
地上で暮らす動物にとって、足が床から離れて体が空中で揺れる状態は、捕まえられている状況とほぼ同じです。ここで「慣れさせよう」と回数を増やすと、逆効果になります。
やることは単純で、先にこちらが床に座る。落ちる高さが数十センチに縮み、抱いている側も安定します。それだけで受け入れ方が変わります。
以下、床に座ってから始める手順・支える位置・時間の伸ばし方・やめる判断まで整理します。
GUINEA PIG
結論:持ち上げる前に座る
抱っこを嫌がる相手に、多くの人が回数を増やそうとします。
慣れの問題だと考えるからです。
ただ、この動物にとって空中に浮くことは、天敵に捕らえられた状態と区別が付きません。
回数を増やすほど、その経験が積み上がります。減らすべきなのは回数ではなく、恐怖の量です。
立ったまま抱き上げないでください。
先に床に座り、膝の上で完結させる。落ちる高さが縮むだけで、体の力の抜け方が変わります。
| やること | やらないこと |
|---|---|
| 床に座ってから始める | 立ったまま抱き上げる |
| 体の下に手を差し入れる | 上から掴む |
| 胸とお尻の両方を支える | 脇の下だけで持つ |
| 体を自分に密着させる | 腕を伸ばして持つ |
| 短時間で下ろす | 嫌がってから下ろす |
| 膝に布を敷く | 滑る素材の上に乗せる |

支える位置
持ち方で、感じる不安定さがまったく変わります。
| 持ち方 | 体の状態 | 評価 |
|---|---|---|
| 片手を胸の下、もう片手でお尻を支える | 4点が支えられる | いちばん良い |
| 両手で体を包む | 全体が支えられる | 良い |
| 脇の下を持って持ち上げる | 後ろ足が宙に浮く | 強く嫌がる |
| 片手だけで持つ | 不安定 | 落下の危険 |
| 背中から掴む | 捕食の動きに近い | 避ける |
| 仰向けにする | 身動きが取れない | 強い恐怖 |
お尻を支えるかどうかが、いちばん大きな差です。
後ろ足が宙に浮いた状態は、この動物にとって最も落ち着かない姿勢になります。
持ち上げるときの手順
- 床に座り、膝にタオルなど滑らない布を敷く
- ケージから出す前に、しばらく手を中に置いて存在に慣らす
- 体の横から手を入れ、胸の下に片手を差し入れる
- もう片方の手でお尻を下から支える
- 持ち上げたらすぐ自分の体に密着させる
- 膝に下ろし、手は添えたままにする
持ち上げる時間を短くするほど、負担が減ります。
空中にいる時間が1秒でも短いほうがよい、という前提で動いてください。
動物の愛護及び管理に関する法律では、動物の所有者・占有者に対し、その動物の健康と安全を保持するよう努める責務が定められています。取り扱いによって恐怖や苦痛を与えないよう配慮することは、この責務に含まれます。条文は e-Gov 法令検索で確認できます。e-Gov 法令検索より。
段階の進め方
いきなり抱こうとせず、手前の段階から積み上げます。
| 段階 | やること | 次へ進む条件 |
|---|---|---|
| 1 | ケージの中に手を置いたままにする | 逃げずに近づいてくる |
| 2 | 手から牧草を差し出す | 手の上から食べる |
| 3 | 背中を短く撫でる | 逃げない |
| 4 | 体の下に手を差し入れる(持ち上げない) | じっとしている |
| 5 | 数センチ持ち上げてすぐ下ろす | 暴れない |
| 6 | 膝の上に乗せて10秒 | 体の力が抜ける |
| 7 | 時間を少しずつ伸ばす | 自分から降りようとしない |
各段階で数日かけて構いません。
急いで進めて1回失敗すると、数段階分を戻ることになります。
時間の伸ばし方
- 最初は10秒。それで下ろす
- 次は20秒、30秒と少しずつ伸ばす
- 嫌がる前に下ろすのが要点。嫌がってから下ろすと、暴れれば降りられると学習する
- 下ろすときは、必ず床かケージの中へ静かに置く
- 下ろしたあとに牧草を少し与えると、終わりが良い記憶になる
「嫌がる前に下ろす」が、この工程で最も大事な一点です。
終わり方が、次回の始まり方を決めます。

NYXARIA / モルモット シルエット ラップクロス
膝に敷いて滑りを止める、厚手コットンのひざ掛け。
輪郭を一つだけ。爪が引っかからない平織りで、洗って繰り返し使えます。
やってはいけないこと
進みを遅らせる行為は、はっきりしています。
| 行為 | 相手にどう伝わるか | 結果 |
|---|---|---|
| 逃げるのを追いかける | 捕まえに来ている | 手を警戒するようになる |
| 上から掴む | 捕食の動き | 強い恐怖 |
| 暴れたら下ろす | 暴れれば終わる | 暴れる行動が定着する |
| 高い位置で持つ | 落ちる恐怖 | 体が固まる |
| 長く持ち続ける | 逃げられない | 抱っこ自体を嫌う |
| 大きな声を出す | 危険の合図 | その場から動かなくなる |
いちばん多いのが「暴れたら下ろす」です。
こちらは配慮のつもりでも、相手には「暴れれば降りられる」と伝わります。
だから、暴れる前に下ろす。
短くても、落ち着いたまま終われた回数が積み上がることが重要です。

やめる判断と、抱かない選択
抱っこは、必ずできるようにならなければいけないものではありません。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 毛が飛ぶほど嫌がる | その日はやめる |
| 短い声を出して身をよじる | すぐ下ろす |
| 何週間試しても固まったまま | 抱かない前提で付き合う |
| 高齢・体調に不安がある | 必要な場面以外は抱かない |
| 食欲や便に変化がある | 抱くより先に動物病院へ相談する |
| 通院・爪切りで必要 | 短時間で済ませる。無理なら相談する |
抱けなくても、日常の世話に支障はありません。
必要なのは、通院や爪切りのときに短時間だけ扱えることです。
抱かずに関係を作る
- ケージの前に座って、静かに過ごす時間を作る
- 手から牧草や野菜を渡す
- 柵越しに名前を呼ぶ
- 掃除や給餌のときに、必ず一声かけてから手を入れる
- 近づいてきたら、こちらは動かない
触れなくても関係は作れます。
むしろ、追わない相手だと分かってからのほうが、向こうから近づいてきます。
よくある質問
迷ったら「床に座る → 胸とお尻を両方支える → 10秒で下ろす → 嫌がる前に終える」。
回数より、落ち着いたまま終われた回数が効きます。
モルモットが抱っこを嫌がるのはなぜですか?
高さと不安定さが理由です。地上で暮らす動物にとって、足が床から離れて体が空中で揺れる状態は、捕まえられている状況とほぼ同じになります。性格や慣れの問題ではないため、回数を増やすと恐怖の経験が積み上がって逆効果になります。まず床に座って、膝の上で完結させてください。
正しい持ち方を教えてください。
片手を胸の下に差し入れ、もう片方の手でお尻を下から支えます。お尻を支えるかどうかがいちばん大きな差で、後ろ足が宙に浮いた状態は最も落ち着かない姿勢になります。上から掴む、脇の下だけで持つ、仰向けにするのは避けてください。持ち上げたらすぐ自分の体に密着させ、膝に下ろします。
暴れたらすぐ下ろすべきですか?
暴れる前に下ろしてください。暴れてから下ろすと「暴れれば降りられる」と学習し、その行動が定着します。最初は10秒で下ろし、少しずつ伸ばしてください。下ろすときは床かケージの中へ静かに置き、そのあとに牧草を少し与えると終わりが良い記憶になります。終わり方が次回の始まり方を決めます。
何週間試しても慣れません。抱っこは必要ですか?
必ずできるようになる必要はありません。日常の世話に支障はなく、必要なのは通院や爪切りのときに短時間だけ扱えることです。ケージの前に座って静かに過ごす、手から牧草を渡す、柵越しに名前を呼ぶといった形でも関係は作れます。追わない相手だと分かってからのほうが、向こうから近づいてきます。
まとめ
モルモットの抱っこを進めるための基準です。
- 前提:嫌がるのは高さと不安定さ。性格ではない
- 最初にやること:床に座る。膝の上で完結させる
- 持ち方:胸の下とお尻を両方支える。上から掴まない
- 時間:10秒から。嫌がる前に下ろす
- 抱けなくてよい:日常の世話に支障はない
抱っこは、こちらの都合で始まる行為です。
相手にとっては、得るものが特にありません。
だからこそ、負担をどこまで減らせるかだけを考えてください。
床に座る。それだけで、こちらが思っているより大きく変わります。

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